「よぉ、カトル!」
懐かしい呼び声に振り向くと、そこには忘れられない人物が立っていた。
ガンダムパイロット・・・デュオ・マックスウェル。
ホテルのロビーだというにもかかわらず、お互い声を上げて再会を喜び合った。
「デュオ・・・デュオじゃないか!久し振り・・・」
「オマエこそ、相変らず忙しそうだな!」
「そんな事無いよ。君こそ珍しいね、こういう所あまり好きじゃないだろ?」
二人が今いるのは地球のとあるホテルのロビー。
そこそこ格式のあるホテルで、カトルは商談のためにこのホテルを訪れていた。
以前カトルの父親が所有する会社の一室で話をした時、高級そうな所は性に合わないとデュオが言っていたのを思い出したカトルは首をかしげていた。
「んー・・・まぁ今日はちっと用事があってな。」
「用事?」
そう言うとデュオは照れ隠しのように自分の髪を片手でぐしゃぐしゃとかき回した。
その時、カトルはようやくデュオの異変に気付く事が出来た。
「デュオ・・・髪!」
そうなのだ、戦場にいた時は腰下まであったはずの長い栗色の髪が今はすっかり短くなっている。
言うならばヒイロと同じくらいの長さ・・・と言ってもいいだろう。
「そんなに驚くことじゃねぇだろ?」
あっけらかんと短くなった後ろ髪を撫で付ける。
そんなデュオをカトルは唖然と見つめていた。
「どうして・・・だって、君は何か願いをかけているって・・・」
「あぁ、かけてたぜ。」
驚いた表情のカトルとは裏腹に満面の笑みでいたずらっ子のように笑うデュオ。
その顔には死神が自分に取り付いているのだと言っていた頃の悲壮な表情は一切伺えない。
心の底から今の・・・この平和を・・・現在を楽しんでいるようだ。
「みんなが幸せになりますように・・・ってな。でも皆が幸せになるにはまずオレも幸せになんなきゃいけねぇって事・・・おせっかいなヤツに教えられてな。」
「・・・君に意見できる人はそう居ないと思うけど?」
苦笑したカトルを見てデュオは少し頬を膨らませた。
「そんなことねぇぞ。理屈が通ってりゃオレだって話ぐらい聞くさ。」
「聞くだけ・・・でしょう?」
「へぇへぇ、ウイナー家の御当主であらせられるカトルお坊ちゃんにはかないませんよ。」
何か言おうとカトルが口を開いた瞬間、何処からかデュオを呼ぶ声が聞こえた。
「デュオーお待たせ!!」
「よぉ、あったか?」
艶のある長い黒髪をなびかせながらデュオに向かって走ってきた少女は、呼吸を整えながら手にしていた携帯電話をデュオに差し出した。
「やっぱりここのレストランで落としていたみたい。時間があんまり経ってなかったからすぐ見つかったわ。」
「よっしゃ、任務完了だな。」
「やっぱり私の方が当たりだったわね♪」
「ったく・・・これで俺の2連敗かよ。」
「あの・・・デュオ?こちらの方は?」
カトルは突然現れデュオと親しげに話す少女に多少驚きながらも、表情を変えず紹介を求めた。
デュオはポンッと手を叩くと少女の肩に手を回して自分の方へ引き寄せた。
「コイツは、オレの相棒。」
「相棒?」
「そ、オレ今コロニーでなんでも屋やってんのよ。あ、だからって昔みたいにやばい事はやってねーぜ!どっちかって言うと・・・失せ物探しとか人探しとか・・・あと迷子猫探しと、落し物探しとか・・・」
指を折りながら真剣に最近の仕事内容を話すデュオの姿が何処か滑稽で…カトルは思わず噴出しそうになる口元を手で覆い隠した。
その様子を笑いながら見ていたと呼ばれた少女がカトルの方へ向き直ると、まるで貴族の女性のようにスカートの裾を軽く掴み一礼した。
「初めましてカトル様。・と申します。」
その身なりにそぐわない挨拶に驚きつつも、カトルは膝を付いての手を取るとその手の甲に唇を落とした。
「・・・ご挨拶が遅れました。カトル・ラバーバ・ウイナーです。お会いできて光栄です。」
貴族が初対面の相手に挨拶をするかのように、それは二人の間で自然に行われた・・・のだが・・・それを挨拶ととらなかった人物が約一名。
「カトル!!てめぇーに何してやがる!!」
デュオである。
物凄い勢いでカトルの手を払うとを腕に抱え込み、キッとカトルを睨みつける。
「何ってデュオ・・・挨拶だよ。」
「挨拶だろーが何だろーがに触るんじゃねぇ!!」
今にも噛み付きそうな勢いのデュオの両頬を腕の中にいたが引っ張った。
「少し落ち着きなさい!デュオ・マックスウェル!!」
少女の外見からは想像も出来ない毅然とした態度。
の声に一喝されたデュオは一瞬息を飲んだ後、大きく深呼吸をしてカトルに向かって頭を下げた。
「ワリィ・・・」
「気にしてないよ・・・それより君達ってどういう関係なんだい?」
デュオとの二人を指差し不思議そうな顔をしているカトルを見て、デュオは慌てて上
着のポケットから一通の封筒を差し出した。
「あはははっ、肝心の物渡すの忘れてたぜ。」
「手紙?」
「そ、オレから幸せのおすそ分け♪」
カトルが受け取った封筒は何処にでもよくある葉書サイズの白い封筒。
表にはワープロで印刷されたカトルの名前が書いてある。
何気なく裏を見ると・・・そこには金色の扇子のシールと寿の文字。
そして端に書いてある・・・デュオとの名前・・・。
「デュオ・・・」
「出席・・・してくれるよな?」
少し照れたように鼻の下を擦るデュオとその腕の中で終始笑顔の。
封を開けずともカトルの想いはただ一つだった。
「おめでとう。必ず出席させてもらうよ!!」
「サンキュウ!やっぱカトルはいいヤツだよなぁ〜。ヒイロの所行ったらさ、に『後悔しないうちに止めろ』って言うし、うーちゃんトコ行ったら『嘘ならもう少しまともな事言え』って言うし、トロワは黙って笑ってるし・・・」
「あはは、僕が言おうかと思ったことは全て皆に言われてしまったんだね。」
「カトル〜」
「冗談ですよ。デュオ、さん本当におめでとうございます。」
「ありがとうございます。カトル様。」
「カトル様何て言わないで下さい。カトルで結構です。これからもよろしくお願いしますね・・・。」
は目を潤ませながら何度も頷いた。
用事の済んだデュオとを見送ろうと玄関へ向く途中、化粧を直すためが一時席をはずした。
それを待っている間、デュオはカトルの肩を掴むと極めて真面目な顔で一言言った。
「・・・の外見に騙されるなよ。」
「どういう事だいデュオ?」
デュオは辺りを伺いながら慎重に言葉を選んでカトルに伝えた。
「・・・は格闘技に関しちゃオレより上・・・ヘタするとうーちゃんと同等だ。」
「・・・五飛と!?」
「だからには手・・・出すなよ?」
真剣な顔のデュオとは対照的に今まで蓄積された笑いが溢れてしまったかのように笑いだしたカトル。
お腹を抱え涙を流すカトルをデュオは唖然と眺めていた。
「カ…カトル?」
「あははっっ・・・デュオってばっ・・・に手を出すなって言えばいいだけなのに・・・そんな・・・分かりきった嘘を付かなくてもっ・・・」
カトルの笑いは止まらない。
「嘘じゃねぇって!!は外見大人しそうで華奢で守ってやらなきゃいけないって思うような女だけどっ!でもな…」
「もう・・・もういいってデュオ!苦しすぎるよ、その嘘は・・・!」
柱に凭れるようにして何とか体勢を立て直した所で、話題の中心人物であるが戻ってきた。
「何かあったのデュオ?」
ハンカチで目元を押さえているカトルと、いまだ何か言いたげな様子のデュオを交互に眺める。
「お前からも言ってくれよ!カトルのヤツ全然信じてくれねーんだ!!」
「だから何!?」
真実をの口から告げさせようとした時、カトルの横にウイナー家の親衛隊と思われる男性がカトルの耳に何か囁いた。
どうやら次の商談の時間が来てしまったらしい。
「残念だけどデュオ、続きは今度ゆっくり聞かせてもらうよ。」
「だから本当なんだって!!」
デュオの叫びを背に受けながらカトルは次の商談が行われる場所へと足を進めていた。
幸せそうな戦友の・・・旧友の顔を思い浮かべながら・・・。
カトルが真実を知るのは、それから間も無くのことだった。
何故か突然出来たガンダムW話。
関さんの声に惹かれ見続けて行くうちに気になって気になってしょうがなくなった・・・デュオの長い髪(笑)
願をかけて髪を伸ばしていたデュオ・・・そのデュオが髪を切るのは何時だろう?←全て勝手な想像
ガンダムの世界を知らない私は全てを勝手に考えて、出来たのがこの話。
結婚を決めたデュオが髪を切って皆の所へ結婚します報告をしに行くと言う(苦笑)
ヒロインは外見儚げな美少女、風が吹けば折れてしまうんじゃなかろうかくらいな♪
でも実際はデュオがカトルに必死に説明しているように格闘技においてはデュオを上回る強さの持ち主で実は姉御肌、でも誰も信じてくれない(爆笑)
それが現れているのが取り乱すデュオを一喝する所・・・って分からないですね(苦笑)
でも書いてて面白かったです(特にデュオが♪)
タイトル幸せ配達って、そのままじゃん!!
本当は『With two people, one angel』をタイトルにしたかったんだけどなぁ・・・。
二人で一人の天使、片羽しかないデュオとヒロインが二人寄り添う事によって一人の天使になる・・・ってイメージだったんだけど、でもタイトルにするには内容ついてかないし長いし、でも使いたいし・・・って事で副題として使用(笑)あー満足♪(バリいい加減・・・)
ガンダムW・・・ケーブルテレビで見ていたら、関さんの声が聞こえたので何気なく見ていて・・・最終回まで見てしまった。(しかし見始めたのが30話くらい・・・なので話の内容意味不明のまま見終わった)結局ガンダム用語?のような物が理解できないまま終ってしまったので、再びケーブルで再放送する日を実は楽しみにしています(笑)
見ている間中デュオが可愛くて可愛くてしょうがなかったですvいいなぁ〜あーゆー元気な子は・・・♪